介護保険 4月5月動向(抜粋)

こんにちは 介護事業コンサルタントフクロウ 安部 浩行です

早いもので、5月も今日で終わりです。4月から5月にかけて介護保険動向の一部をまとめてみました。

財務省が次の介護保険改正に向けての提案をしていることは書きましたが、ここでもう一度まとめてみます。

 

平成30年の改定は、29年に「介護離職ゼロ」の公約から介護職員処遇改善加算をアップしたため、マイナス査定の予定でした。プラスに転じたのは、介護サービスの経営状況の悪化と薬価調整による財源があったためと言われています。

 

この流れから行くと次回の改訂は、マイナスになる事はほぼ間違いないです。

保険給付に対して、4月に給付範囲・効率的・負担とのバランスの3点から以下の8項目の提案がなされて、検討が始まっています。

1. 居宅介護支援に利用者負担を設ける

2. 要介護1・2の軽度者への生活支援サービスについても地域支援事業に移行させる

3. 老人保健施設、介護療養病床、介護医療院の多床室の室料相当額の基本サービス額からの除外

4. 自立支援・重度化防止等に資する施策を評価し、保険者機能強化のためにインセンティブを活用する

5. 保険者によるケアプランチェックと利用者の状態像に応じたサービス内容・利用回数の標準化

6. 在宅サービスの総量規制・公募制などにより自治体がコントロールする仕組みの導入

7. 介護サービス事業者の経営の効率化・安定化、人材確保、サービスの質の向上のため、介護サービスの経営主体の統合・再編を促す

8. 介護サービスの利用者負担を原則2割とするなど、段階的に引き上げていく

 

どの項目も社会保障費を抑えるため為に具体的に提案されています。

この中で、実際に実施されているのは2番の総合事業であるが、保険者によっては事業所の撤退が増えている。実際に、近辺の事業所でも総合事業に関わる事を極力避けているのがわかります。

労力の割に、収入が合わないと思うのが自然でしょう。軽度の方は、介護内容・量は少ないがいろんな注文や要望が多かったりして意外と手がかかります。

介護体制の基準人員等も、例えば、特定施設の場合、要介護者3対1に対して、要支援者は10対1ですが実際に一人の人間では、何人も同時には対応できないため机上の配置では足りないので余分に配置します。

 

ほぼ決まっているのは、4番のインセンティブの導入。5番のケアプランチェックの強化も、確実に実現しそうな内容です。

保険者の求人に、必要な資格は介護支援専門員・看護師 経験5年以上で、ケアプランチェックが仕事内容が入っていたりします。

 

6番の総量規制や公募制は、グループホームや特定施設では導入済み。今後、通所介護や訪問介護も、保険者の判断で実施されるケースもあるかも。

実際に倒産件数や表面には出にくい経営者の変更やM &Aが多くなれば、事業者数過剰と判断する。無論、給付費抑制が目標ではあります。

 

7番の経営規模の大規模化・協働化による経営効率化は財務会計上も当たり前な事で、提案後経団連も「スケールメリット効果は有効」と発言しており、5月23日の自民党の財政再建に関する特命委員会での今後の社会保障制度の改革メニュにも盛り込ました。

 

1番目のケアプランの有料化と8番目の負担割合増は、今までの高齢者の医療保険と同じで、常に検討されていく課題だと思います。

 

財政再建の達成時期は2025年に先送りになりそうではあるが、政府が来月にまとめる「骨太の方針」に反映される予定になりそうです。

 

7番の経営規模の大規模化については、経営形態により大きな違いがあります。

社会福祉法人・NPO法人と医療法人と民間法人(営利法人)また医療法人でも財団や社団などいろんな法人があります。

 

この中で実際に使われている「統合」という表現は、小規模な事業者には不利な事がおきるようになる。

例えば介護報酬単価が下がる、指定・更新に、事業所規模が小さいままではできないなどに大きくせざる得ない方向に導く可能性もあります。

 

実際に、経営の統合といっても、両者の財務会計状況や会社の評価・価値などで条件がいろいろあり簡単にはいかないはずです。特に介護事業以外も実施しているような会社はなおさらです。

 

そして、さらに今日の報道で日本医師会は厚生労働省の来年度予算の概算要求の要望書の中で、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の囲い込みについて、過剰なサービスをしないように指導体制を強化するべきと主張したとのこと。

 

つまり、有料老人ホームやサ高住を重点的に実地指導しろと言っています。日本医師会も医療報酬を守るために言っているのであり、かつ有料老人ホームやサ高住を持っている医療機関への対抗もあると思います。

 

有料老人ホームは、連携医療機関の契約書を行政に提出し、重要事項説明書に明記します。主治医は入居者が自分の意思で決める事ができますが、入居の際に連携医療機関や同系列医療機関に変更するケースもあります。

 

これは入居者の方の健康情報が共有しやすいなどのメリットはありますが、変更された側は患者を失うことになりますので、これも囲い込みになります。

 

社会保障費の将来推定は、2040年で、医療費が67兆円で本年度の39.2兆円の1.7倍・介護費が2040年26兆円で本年度10.7兆円で2.4倍です。医療費の伸びが低いのは、介護療養院などの高齢者の移住があるからです。

 

社会法消費が増大する中で足りない部分をどう対応するのかを検討し、上記の提案や主張が出ています。制度を維持して行くために強引なやり方はないとは思いますが、かなり厳しい要求が出てくることは予想できます。

 

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事務所の名前とマークのフクロウは「福老」「不苦労」の漢字を当てられます。老いた方々に幸福を与えることができるような仕事をしたいと命名しました。

介護事業コンサルタントフクロウ 安部 浩行

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