厳しくなる住宅型有料老人ホームの実地指導

こんにちは 介護ビジネスコンサルタントフクロウ 安部 浩行です

新年度が始まりました。3月29日に厚生労働省通知が一挙にvol.704から714までが発出されました。お役所の人事異動もあり担当者もかわっているかもしれません。

もう一つ、新しい年号も「令和」と決まり、これからソフトのシステム対応などが始まります。以前に比べて、簡単になりました、ダウンロードしてインストールするだけだと思います。

同じく、3月29日に約1億円を介護給付費を不正受給したニュースが配信されています。
内容は、前回のブログでも書きましたが、住宅型有料老人ホーム(以下住宅型)の併設の介護サービス事業所と居宅介護支援事業所による不正請求です。

やり方は、簡単です。同じ法人の居宅介護支援事業所とサービス事業所が結託してサービス事業所が虚偽の実績を上げて、居宅介護支援事業所が給付管理をしていた。今回のケースは、経営者(居宅介護支援事業所の管理者を兼務)が指示を出していたそうです。

記事から察するところ、通報によるものです。多分、元職員等の内部を知っている人からの情報提供ではないでしょうか。今回の介護サービス事業所はデイサービスです。
住宅型の入居者に対して虚偽のサービス利用表を作成していたと書いてありますので、体調不良や自己都合等で休んだ日を算定したとかでは無く計画的だと言えます。

期間1年と11ヶ月の中で約200日で1億円ですから単純計算で1日50万円ですので利用者数でみると1日50人以上で、同一建物減算が940円ありますので単価は1万円以下のはずです。

今回の不祥事では経営者自体が、ケアマネジャーとして直接不正を行い指示をだしたため制御することができなかった。業務管理体制の責任者も経営者であった可能性は高いと思います。

住宅型について少し説明をしていきます。

私自身が住宅型の施設長をしたいた事がありますが、当時併設でデイサービスと居宅介護支援事業所がありその2つ管理者も兼務していました。最初は、居宅介護支援支援事業所は開設しなかったのですが、入居者が他保険者からあり地元の居宅では受け入れをしてもらえず仕方なく半年後に一人ケアマネで開設しました。

業務的には、同じ建物にあれば連携や情報共有はできますし家族対応をやりやすい。毎日本人の健康状態の確認できる主治医との連携も在宅医療(往診)の立会いもできます。併設事業所を利用することは、ご家族に安心と安全を提供できるシステムでもあります。

介護付き有料老人ホームには数的に限りあり、新設も数量規制のためできないため住宅型やサービス付き高齢者向け住宅(以下サ高住)が増えて2017年には定員数は住宅型が追い越しました。平均介護度も住宅型が高いデータがでています。

介護の必要な方が生活していくため併設で介護サービスの利用しながらギャップができない様に有料老人ホームのサービスを利用するのが住宅型です。政府は会計分離し単独事業での収支を求めていますが、入居者の老人ホームでの有料介護サービスの支払いに限界があります。

会計的には、住宅型単独では赤字でしょう。夜間の職員配置も費用がかかる、オープン時の建設費・備品購入費の返済や維持費もあります。
併設サービスの介護保険収入が無ければ経営はできません。単独デイサービスで入ってくる収入で足りない分を賄わないといけません。

このシステムが成り立つには、特定施設入居者生活介護とデイサービスの介護報酬によるものがあります。なぜなら、特定施設の24時間分の報酬より日帰りデイサービスの報酬が高いのでデイサービスの報酬で24時間を対応する事ができる。

1ヶ月で見た場合、支給限度額と特定施設31日分の報酬を比較した場合は介護度が高くなればなるほど支給限度額ほうが高く双方の差がでます。

会社自体の経営を考えた場合、住宅型では併設の介護サービスの利用状況は深刻な問題です。だからそこ、この様な不正を行ったではないかと思われます。不正は絶対やってはいけません。

住宅型やサ高住は独居ですから、同じ法人内部でわからない様に不正はできます。だからこそ他事業所以上にケアマネジャーは併設サービス事業所を厳しく監視する、決してナアナアにならない様にしなくてはならないと言っています。

行政も不正発生率が高い事から見方が厳しくなっています。厳しい経営状態から管理者は売り上げの追求を受けるかもしれませんが法令遵守は最低条件です。事業所の定期的な内部調査や第三者によるチェックを実施することもひとつの方法です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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事務所の名前とマークのフクロウは「福老」「不苦労」の漢字を当てられます。老いた方々に幸福を与えることができるような仕事をしたいと命名しました。

介護事業コンサルタントフクロウ 安部 浩行

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