福老(フクロウ)になるメールマガジン20201212 Vol.185「事故報告書を例として組織作りを考えてみる」

 

 

こんにちは。オフィスABUの安部浩行です。

ご愛読いただきましてありがとうございます。

 

 

今回は、「事故報告書」を例に生産性の向上に必要な組織作りを考えていきます。

 

事故報告書は、実地指導でも確認される作成、管理、保存義務がある記録書類の一つです。実際に起こった事故が再発しないようにするため作成します。

 

報告書は、当事者あるいは発見者が作成します。事故状況やその後の対応がわかるような書式になっており、対策会議の資料となり事業所全体で共有する仕事です。

 

事故報告書は、当事者を責めるもの、処分するためのものではないことが大前提になっていて、隠蔽の防止なども目的となっています。

 

事故報告書(インシデント報告書を含む)により不具合を明確にし業務改善に繋げることは重要であり、特にインシデントが数多く報告されるのはいい傾向です。

 

また医療機関を受診する事故(重大事故)については保険者への報告義務があります。

 

 

生産性を向上させるためには、まず取り組むのは組織の作りからです。組織作りで必要なことは、「ルール作り」「ルールの習慣化」が全員できることです。

 

その後に「個の力」をアップして役割を決めていきます。「個の力」は、事故報告書での対策を考えていく、実践していく、モニタリングしていくなど役割になります。

 

 

 

ルールの習慣化は、個人の能力には関係なくできることです。例えば、事故報告書を作成するなどパターン化された仕事とも言えます。

 

 

ルールの習慣化ができていない事業所は、定着するまでが大変です。なぜなら、なぜ行うのかを全員に理解させる必要があります。

 

そのためには、私たちが背負っている「使命」、会社として掲げている「目標」、そのために組織としてやらなければならないこと、個人とやらなければならないこと。その「責任」を含めて説明していきます。

 

 

事故報告書に当てはめますと、「使命」は利用者の安全を守ること。「目標」は同じ事故の再発をさせないです。

 

組織としては、事故の再発防止の取り組みその対策、実践、効果を第3者に説明ができるように作成すること。

 

一定期間でのモニタリングを行い、修正などの検討を行うことも忘れてはいけません。

 

個人としては、事故対策ミーティングに出席し事故の情報を把握し対策を共有します。組織の決定した対策については実行していきます。

 

対策の実行の効果を検証するとともに必要に応じて対策の見直しに必要な情報を収集し報告をします。

 

 

上記は簡単な流れです。まだ、細くマネジメントされている事業所も多いかと思います。しかし、事業所の方の悩みとして一番上がってくのが「インシデント、事故報告書を書いてくれない」です。

 

報告書の作成に負担感が出るのは、事業所の管理者の取り組み方に問題があります。やらなければいけない仕事の説明ができていないです。

 

もしかしたら今までの対応に問題がある可能性があります。いくつかのケースを書いてみます。

 

事故が発生した時に、その個人だけと話をしたり、あるいは全体に「今後は注意しましょう」で終わっていないかどうかです。結構、そんな管理者を見受けます。

 

最悪は「忙しい」からと「高齢だから仕方ない」とかと見逃しているケースもそのためか同じような事故が頻回しての対策はなかったりします。

 

中途半端なケースは、職員が「この事故は書かないといけませんか?」と聞いてくる。グレーゾーンを残すことで何かいいことがありますか?と聞きたいです。

 

この一連の仕事をいかに習慣化することが重要かわかります。今回は、事故報告書を例に取りましたが、行事の企画などあらゆる仕事で適用されます。

 

 

PS:事故報告書ですが、私も管理者をしていた時に死亡事故を経験しました。事故報告書を作成し、保険者に提出しました。その方は、要介護5で胃瘻で在宅酸素使用の方でした。

 

対応された保険者の担当の方が「事故報告書は、事業所を守るための書類でもあります。対応に問題がなかったことの証明となります。」と言われました。

 

余談ですが、老人ホームでお亡くなりなった場合は警察が関与します。救急隊が到着し心肺停止だった場合は警察に連絡をするからです。

 

死因にあらゆる可能性があります。殺人、病死、自然死、自殺など刑事ドラマみたいに現場検証があり、職員は現場で個別に事情聴取を受けます。

 

死因がすぐに明確なれば解決は早いですが、「朝顔」みたいに不明の場合は司法解剖もあります。ですから警察が許すまで帰れません。

 

介護記録や報告書がきちんとなっているかどうかは、事業所自体の評価が高くなり第三者の印象もよくなります。自分を守る鎧のようなものです。

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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