給与体系・人件費の決め方

 

こんにちは 介護事業コンサルタントフクロウ 安部 浩行です

新入社員の時期ですが、初任給や職員待遇はどうされてますか

介護員処遇改善加算のため、細かい賃金アップではなく
加算の改正のたび、月額に換算して1万円近いアップをしています。

本来昇給は、一般企業では利益増から行いますが医療・介護事業は報酬単価のアップから計算をしていました。

3年ごとの報酬改定ですので、3%上がれば毎年1%の昇給みたいな形で計画をしたものです。

勿論、顧客数を増やしての収入増・利益アップも必要です。しかし、客数の増加は人件費等の経費の増加にもなります。

一般企業と違うところは、ヒット商品よる臨時ボーナスや急な成長による給与の大幅アップがない事です。

会計的には、売上高(見込み)から人件費の枠を決めて
毎月の利益から積み立てをして賞与を確保します。

ところが、利益とキャッシュが伴わない場合があり
賞与の積み立てがうまくできないケースがあり
賞与が給与に比べて異常に少ない会社があります。

棚卸しや仕入れ額がほとんどなく、経費の大部分が人件費である介護事業の場合、人件費率または人件費額をどう設定するのか

平成28年度の人件費率全国平均をみてみると

訪問系は設備投資や維持費がかからないが、実働数が必要なため、人件費率が高く訪問介護で75.2%・訪問看護79.3%です。

通所系では、通所介護62.4%・通所リハビリテーション64.3%になっています。
特定施設は、44.4%・グループホーム64.0%です。

施設系では、介護老人福祉施設63.8%・介護老人保健施設59.8%です。

この6年間の状況をみると、途中にマイナス改定があったため収入は減り、介護員処遇改善加算の率がアップにより人件費率は高くなっています。

6年前の介護事業を人件費率を紹介しておきます。(平成22年度)
訪問介護 70.5% 、訪問看護 77.6%(介護員処遇改善加算なし)
通所介護 53.5%、通所リハビリテーション 58.8%
特定施設 35.5%、グループホーム 52.3%
介護老人福祉施設 56.5% 、介護老人保健施設 52.7%

居宅介護支援事業所は、平成22年79.8%で平成26年度85.6%です。

最近の人手不足の中、中途採用を募集する場合は、
表示する給与の額により応募状況が違います。

異常に高い求人は敬遠されますが現状の待遇より高いところに応募するのは当然の事でしょう。

ただし、現職員とのバランスも考慮するか、合わせて現職員の昇給もしなければならないです。

即戦力の職員が欲しいのは当たり前です。
公募ではなく、知人を通じて紹介してもらう場合や
経験者や資格取得者を雇う場合は特に金額設定に悩みます。

会社自体の財務状況は違いますので、無理な賃金設定は
経営自体を圧迫します。

介護報酬の値上げはできませんので、後での修正は経費を削るしかなくあるいは、増資や借入金の返済計画の見直しなどが必要になります。

今月、厚生労働省が介護従事者処遇状況調査を発表しています。
その金額が報道でご存知だと思いますが、介護職員の平均給与は賞与を月割にして、月額29万7450円です。

この内訳は書いてなかったのですが、資料にはありました。
基本給 18万0030円・手当6万7970円・一時金(賞与等)4万5460円
手当には、時間外手当や処遇改善手当・通勤手当・家族手当・職務手当等が含まれています。

月22.5日働いたとして1日8時間で180時間となり、時給は1000円ですから、基本給はそんなに上がっていないです。

介護職員処遇改善加算のほとんどは手当に充てられていると思われ、平成28年から29年にかけて6650円増えています。基本給は3140円で実質1.8%の昇給です。

参考として、非常勤職員の平均時給も紹介しておきます。
介護職員 1110円・看護職員1400円・生活相談員 1040円・理学療法士等1680円・介護支援専門員1340円となっています。

勤続年数よる給与額の差も1年から3年までが1年勤続ごとに7000円から8000円の昇級があり、それ以降は4000円の差がでています。手当を含んだ金額ですので5年目以降は職務手当等の増加があるのか、10年で66000円の差額がでています。

給与体系を決めることは、慎重にする必要があります。職員の充足状況で、条件が変れば現場が混乱します。昇級が止まれば不満につながり、個人差をつければこの根拠を説明できないといけません。

よく起こるケースは、職員間の給与明細の見せ合いです。新入職員が入るとその内容を確認したりしているようです。

介護職員処遇改善加算により給与体系は整備され、内容はオープンになったはずですが、他人の給与は気になるようです。

少しずつでも、地道に上がっていったほうが職員受けいいようです。

決める側としては、数字を把握してきちんとした配分を行うこと。仕事のできる職員・貢献している職員を評価していることがわかるような決定をしていくことです。

 

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事務所の名前とマークのフクロウは「福老」「不苦労」の漢字を当てられます。老いた方々に幸福を与えることができるような仕事をしたいと命名しました。

介護事業コンサルタントフクロウ 安部 浩行

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