こんにちは 介護事業コンサルタントフクロウ 安部 浩行です
今年の改定から、介護保険の構造改革が始まったとよく言われます。ふと、介護保険が始まったから今までを思い出してみました。
介護保険が始まる前年は、ホームヘルパー2級講座が1年待ちでした。訪問介護の仕事を無資格者はできないからです。
当時は、景気もあまり良くなく求人も少ない。その上、新しい業界であり経験者の少ない仕事である介護事業に大きな期待がありました。
国が考えていた介護保険も、在宅介護中心の方向性で進んでおり、今迄措置制度(社会福祉法人)で行なっていたホームヘルパーとデイサービスに民間会社が参入できる。営利事業で行う事ができるため、かなり盛り上がった時です。
私自身は、医療法人に勤務し、医療保険の老人デイケアを1993年に開設し、訪問介護員2級講座の指定を受けて事務局と講師をしていました。介護保険事業部門の開設責任者でしたので、期待に対する異常な盛り上がりははっきりおぼえています。
しかし、介護保険が始まったら国の思いとは別の方向に、在宅介護はあまり伸びず訪問介護の仕事も少ない。資格を持って仕事についた方も収入が少ないため、この業界から離れていきました。
そして介護員の待遇の悪さに景気が良くなり、いろんな業種の求人も増えて介護事業は人材不足に、それでも介護福祉士の資格取得が専門学校でできたは新卒者が採用でき、育成をする事ができたがこれも制度が変わり若い人の供給源もなくなりました。
私も介護支援専門員第1期生です。3回目の更新を昨年しましたが、かなりの方が引退してもしかしたら、自分のケアプランを立てる年齢になっているのかも(笑)
いろんなことを経て、制度は変わっていきました。一番変わったのは、受け手の家族です。初めは、自分の親は子供が面倒見るというのが普通でしたから、デイなどに行かせることは恥ずかしい事で自宅前に送迎車を止めないでくれという依頼もありました。
日・祝日は、家族で面倒をみるので通所は休み。老人ホームも盆・正月は外泊で残っているいるが少ないくらいでした。利用者がいないから臨時休業もありました。
これからはどうなっていくのでしょうか
・家族介護はしないのではなくてできない社会になっていく。
今では、家族はレジャーのためお年寄りはデイサービスを利用する。当たり前の時代です。この傾向も、介護保険効果なのかもしれません。
女性(主婦)の方が働くのも当たり前ですから、介護することも育児もできません。介護保険と保育園が必要になります。年金の支給年齢が上がれば、子供もその歳まで働かなければいけなくなり親の介護をできる時間はなくなります。
高齢者の方が年金制度に加入しているため、低所得の方が少なくなりました。また、親が所得が少なく生活できない場合、生活保護(以前のように心理的な抵抗がない)など利用するなど生活は苦しくても援助を受けることができようになっています。
介護保険制度も、いろんな背景の中変化してきました。需要はあっても財政は厳しく制限も明確になっています。例えば、住宅改修にしても見積もりから完成まで厳しいチェックを受けるようになりました。それだけではなく、例えば浴室の改修(手すりなど)を行えば通所での入浴はうけれないなど・・・。
・介護職員の待遇改善も行政主導で展開しています。
介護員処遇改善加算など介護業界全体を底上げする対策も取られきました。これも予想ができなかった行政対応です。介護業界の人材確保にはなくてはならないものなっています。この加算なしには介護員の給与体系は成り立たないくらいの金額になりました。
実際の昇給は一体どのくらいあるでしょうか
・介護報酬は、収支差をデータに決定する。
介護保険事業の報酬改正は、基本的に各事業別の収支差を他の中小企業と比較して判断する。利益がでれば、マイナス査定し赤字だとアップを検討というやり方ですから単純な単位数に増収は考えられず、加算取得やスケールアップによる企業努力しかありません。
・これからの介護事業所は
この4月から3年後の改定に向けていろんな会合はじまっています。それは財務省であり厚労省であり、学者さんやメーカー、コンサルティング部門、業界の有名な人などのメンバーで検討をしています。
また、技術開発も行われてますがこれについては、スポンサーとなった大手の介護関連事業が1番に導入するのでその後になるでしょう。
中央や大手がやっている事を、地方いて中小の事業所がしようしてもできるわけありません。
まず、出来ることは、今の事業所の質の向上であり職員の育成です。それと、地域と密着した活動をしていくこと。
半径3キロメートルいる高齢者や住民に認めてもらう事業所作りです。
無料メールマガジン「フクロウになる話」を発行しています。
日常の出来事や介護事業でのエピソードなど楽しく読める内容にしています。
ご希望の方は、下記フォームよりメールアドレスをご登録ください。
ブロクに関するご意見や介護事業のご相談も受け付けております。
事務所の名前とマークのフクロウは「福老」「不苦労」の漢字を当てられます。老いた方々に幸福を与えることができるような仕事をしたいと命名しました。
介護事業コンサルタントフクロウ 安部 浩行